小松市中心部からほど近い集落に建つ住宅。
集落の中央を通る道に沿って農家が建ち並び、各家は入母屋が特徴の主屋と簡素な納屋から成っている。敷地はその裏手に位置する畑に囲まれた場所であることから、近隣にならい主屋に付属する納屋のような佇まいとなるよう、下見板張りの外壁に切妻屋根を架けた簡素な外観とした。
内部は北側の玄関から南側の庭までを貫く階段室によって、1階は水回りとリビングに、2階は書斎と寝室に分けられ、適度にプライバシーを保ちながら、光を届け風が通り抜ける様にした。廊下からリビングダイニング、和室と続く空間とそれらに囲まれた庭は、建具や開口を大きく開閉できる様にすることで、空間に奥行と多様性をもたらしている。和室の床はリビングダイニングから一段高くすることで、畳とソファと椅子による高さの違いを違和感なくつなげるようにした。2階の隅に配置した書斎は小さな開口と素材感のある仕上げを用いて、落ち着いた籠りの場とした。